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黒人が出てくる人種差別をテーマ映画というと、なんとも『カラー・パープル』や最近ならカンタンの『ジャンゴ』も理不尽な扱いを受けながらも健気。フランスは『ショコラ』で不条理を描く。というお決まりのパターンなのですが、こちらは黒人&女という二重苦でも頭脳はNASAの計算機という本当に題名通りの隠された顔の話でした。

私がこの映画が何故好きかというと軽いからです。おトイレの話(白人黒人トイレが分かれており、主人公である天才数学者のキャサリーンは黒人であるがゆえに毎回行き帰り40分かけてトイレに行かなければならなかったというちょっと大げさな作り話。これはWikiによると事実ではないとのこと)に象徴されるように、トイレという身近なもので差別をとりあげるというお手軽さがあります。とりあえず人間扱いされてなかった黒人でしかも女性が上司であるケヴィン・コスナーに怒りの告白をする場面など誰が見ても「がんばれ!」という気持ちになるでしょう。

びっくりしたことは、当時のNASAがいかに手計算で人間を月まで届けていたかという事実です。もうこれは感動でしかありません。当時、あなたが手に持ってるスマホ一個分の計算処理能力さえ部屋いっぱいに置かれたIBMにはなかったのでしょうか。でもその時代にすでに人間は月に人類を送り込んでいたのです。

NASAのセンターにIBMが導入され手計算嬢が配置移転になる場面があるのですが、それはもう今のAIへ仕事を取られる人間の姿にも重なります。

そしてもっとびっくりしたことは、このアフリカ系というか黒人の女性たちの活躍を2016年でこの原作者が本を書くまで多くの人が知らなかったということです。昨年オバマ大統領に勲章をもらったKatherine Johnson さんがまだご存命のうちにこの映画ができたことは喜ばしいですが本人のインタビューを何処かで見たら

「ふ、、何言ってるのよ、映画は映画よ。本当のことは話せないわ。」

とおっしゃってたのが印象的でした。天才であるが故のプライドとその厳しさと生き抜いてきた優しさが表情で感じられる美しいおばあさまです。決して優しいだけではなくすこし達観したような表情が素敵でした。

すべてのマイノリティへ。もちろん日本人だって世界規模でみればちゃんとしたマイノリティなのですよ。

そしてこんなハッピーな映画を作れる国なのにトランプを大統領として選ぶアメリカという国。ほんとうに矛盾だらけ。