あの、仕方なく暗いイギリス映画Sweet sixteenの方だったのですね。ケン・ローチ監督。毎度の事ながら図書館の予約DVDにて拝視聴。
予備知識はそんなになかったのですが、
こちらのサイトの予告ビデオ
http://www.kono-jiyu.com/
なんてほど生やさしいものではないと思う。てか、これだめ。お金払って見たくない。
話は、人材派遣会社をクビになった33歳アンジー (バツイチのシングルマザーだが息子は両親の元で育っている。両親はひと世代前の普通の庶民。決して下流ではない)が失業後、自分でルームメイトとともに、人材派遣(日雇い労働者の手配師)会社を立ち上げ、自分も違法労働者と知りつつ、その悪業に手を染める。一旦、搾取する側になれば、転げる展開は早い。被搾取側よりの、脅迫、暴力、そして、息子への脅しもはじまる。そして、法を犯すことには反対な経営の右腕であるルームメイトをも失う。普通ならそこで傷心のシングルマザーは、おとなしく。。・・・のはずが、どっこい、ラストシーンでは、ウクライナの違法労働者をスカウトしにいくシーンで終わるという。この監督らしい後味の悪さがえぐい。
社会派映画というのだろうけど、もうこれは他人事ではなく、ヨーロッパの大都市では普通に行われていることであるからして、この監督も脚本も普通の街のカフェで交わされているような小市民の普通の意見をぽんぽん配役ごとに言わせているのが普通でありながら、深く頷ける矛盾に気がつく。
特にイラン人家庭のくだりなんかは、ほんとに、くすっと笑わせてくれたり、(ヨーロッパにおいて、中近東の人は自分が中近東出身というのが恥ずかしいので、ついついイタリア人ですとかスペイン人ですとか言ってしまう。だって顔が濃いからわかんない)イギリスは歴史的にインドに始まり、アフガニスタン、パキスタン人も多そうですものね。ドイツはトルコ、フランスはマグレブ。各国違いますな。そして各国なりに、歴史があり。そしていくら下流というか移民層がはびころうと、今なを絶対的なヨーロッパ・・・いやもう人口比は逆転してる村もあるでしょう。
ポイントはこの主人公の女性が、中流の家庭に生まれながらも、(アイリッシュではある設定?)しっかりしたご両親に子供を預け、自分が失業や借金やらでだんだん落ちていく姿がとってもシュール。なのね。世界的に右肩上がりの時代と違って、今の私たちの世代ってほんとにたいへんだもの。昔は働いただけでよかった。がむしゃらに働けばその分稼げた。子供は親よりも良い暮らしができた伝説の20世紀の資本主義どっぷりのあたしの世代の人がみたりするとほんとに痛い痛い痛いっ!
この映画で言いたかったことは多分・・
『自分より弱いものを見つけて搾取しないと、自分も搾取されて下流におちるで。そんな社会や今は。。』
かも。落ちてますよ落ちてますよ。ただこれ以上は落ちたくないんですけどね。
ちなみにコレはカンヌではなくベネチア映画祭の賞をいただいてるらしい。
そいえば、グローバリゼーションという言葉を使い出したクリントン大統領、カンヌ映画祭で重要な役をしてるみたいですね。今日のニュースで言ってた。いいなぁああゆう世界も。お口直しに次は子供のトイ・ストーリーでも見せてもらおう。