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先日本屋でもみたので興味があったので「日本語で」読んでみました。
淡々とした作者の竜田さんの労働者体験を語った福島第一原発つまりいちえふでの労働者としてどうやって入ったか、どういう作業を具体的にしていたか、などが描かれていました。
 
ちょうどその前に梁 石日さんの『タクシードライバー日記』を読んでたものですから日本の労働者のおっさんの雰囲気には免疫があったのですが、私達が思ってるほどいちえふの現場はドラマティックでもなんでもなくどこの作業現場でもあるブラックな労働現場なんだなということが読めてきました。
 
そしてその中で働いてる人は決して原発反対でもなんでもなく普通に放射線量を気にしながら(年間累計が貯まると敷地内には入れない)日給計算をし、その日のお金はパチンコで使い、コンビニ弁当を食べ、高脂肪の甘いパックカフェオレを飲み、男所帯の共同アパートで寝泊まりなさってるようでした。
 
正直もっとドラマチックを期待してた読者には肩透かしかもしれません。ただ、梁石日の労働者日記と大きく違う点は、あのタクシー運転手がボロボロの健康状態だったのに対し、彼が彼は明るく健康なのです。考えも前向きです。雇い主に対して不満はありません。つらい仕事も志願します。言い方を変えれば自らもおっしゃってましたが、高揚感に酔った特攻の若者のようでもあり個人的には好きになれませんでした。自ら職安でこの現場の求人を探し、志願していちえふの作業現場で働いてる作者の視点です。
 
仕事もなくここでしか働く機会がない福島近辺の高齢者になりつつあるおじさんとは立場も見方もぜんぜん違うでしょう。あくまでも、作家魂で見てやろうというガッツがある方の視点ということです。
 
私は同僚への深い観察や自らの人生観(フィクションでもいいから)を深く描いてもないのが少し残念でした。
 
ちょっと笑う劇的すぎるフランスの広告。。。