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映画館で見るべきシェイプオブウォーター

話題のオスカー受賞作。シェイプオブウォーター。
フランス語でもまんまの Forme de l’eau.

恐ろしく計算された映画で、わたしがひとことでいうのなれば、これは「アメリ」の怪獣版。アメリの進化版な香りがする。

とりあえずあのトレイラーの予告編やポスターは良くないわね。

[blogcard url=”https://www.youtube.com/watch?v=wrffB5vzk4o” title=”シェイプオブウォーター予告編”]

この映画の良さってふたりがいちゃついて表皮の痛そうな怪獣と女の子が抱き合ってる姿じゃなくて普通に目を見つめ合ってるぐらいかなとも思うのね。

聾の主人公のイライザのような普通の人達、都会の片隅に住み、日々の糧を得て、生きて行く人たち。丁寧な生活描写。出かける前にはかならずお風呂に入り、靴を磨き出ていく。彼女の仕事は、アメリカの国家の機密研究所の夜間掃除婦。出勤のバスの窓に叩きつけられる2つの雨粒がシャンソンのジャバネーズに乗って色っぽく形を変えていく。

遅刻気味のイライザに変わり、いつもタイムカードの順番を譲ってくれるのが黒人のゼルダ。イライザの手話をみんなに翻訳してくれるのはゼルダだけ。嫌なマッチョセクハラ上司、そして、なぜか怪獣を取り逃がすためには協力してくれる博士。

売れないゲイのイラストレーターの老人のアパートの隣人とは仲良くケーキを食べ、彼の家で当時珍しいテレビ(1962年設定だから東京オリンピック前)を見て、テレビに映るダンスのシーンをふたりでやったりして休みの日を過ごすような本当に何気ないシーンが愛しい。怪獣映画には見えない。

そんな静かな日常に現れる怪獣。研究所の水槽で生きてるけど殺されるかもしれない危機。

彼女がどうしても怪獣を助けたくて声なき声を上げるシーンとかは、ほんとうに切ない。

お部屋がすべて飴色アンティークでデリカテッセンやアメリを思い出させるようなレトロな家具。

これだけでもとっても心が和むしネットフリックス全盛の今だからこそ映画館ならトリップ感ありました。

あと。。。この映画でいろいろな人が言ってる、この映画のキモであるマイノリティだの女性差別だの、すごいそういうのもエッセンスというか、エレメンツ散らばってる。それが現実に引き戻してくれる。主人公の設定は、喋れない、孤児、そしてエイミー・ワインハウス似のウディ・アレン映画の女優。いい重力となってる。