しんきくさが良い『日の名残り』

公開時に見た覚えがあるので多分今から27年前も見たのですが、その時はなんかしんき臭いなあ、ひっつくんかいなひっつかへんのかいな、分かってたら分かってるって言いなさいよ。。と思ってただけで特別な感想も何もなかったんですが今この歳でもっかい見てめっちゃくちゃしみました。。。。

「月がキレイですね」が

(愛しています)

の国のひとですから・・・

このスティーブンソンの変態的なひねくれ態度も理解できます。

また『ダウントン・アビー』で執事、お給仕、ハウスキーパー、お台所、薪入れ新入り。。と使用人の世界の序列も頭に入ってたので、スティーブンソンさんがいかに責任のあるお仕事なのか、また使用人の食堂での座り方序列など予習してた?ので今回は理解が深かったです。

私が一番好きだったのは、スティーブンスが来客に意見を聞かれてわざととぼけて答えないところ、スーパーマンに「俺何言ったっけ」と聞かれて全部わかっているのにお茶を濁すところ。

『忠誠を誓う』ってことは奴隷になることではない、昔は美徳とされてた美しいことなんだと、必死で教えてくれる映画なんだけど、LGBTQだのポリコレで毒された私の鑑賞眼にはとてもつらかったわ。でもわかる。

でもさすがのノーベル文学賞作家の作品だからか、ダウントン・アビー的ないやらしさはないの。エミリーも、殺人もなにもないの。そのかわり、もっとしんきくさいのよ。

落ちぶれた領主のあとに来た若い新興貴族が、「友達だろう?」という若使用人に話しかけるが頑なにその言葉を無視し、領主と使用人の関係を貫こうとする前世代的なレクターハンニバル。

友達でしょ!

という言葉はかなり、危険よね。それが最近見たLittle fire everywhere (21世紀のアメリカドラマだと)白人宅にお手伝いに来ている近所の黒人女性は「あんたとは友達とはずっと思ったことはない」と言い返す。

密かな思いを寄せていただろうと思えるミスケントンと20年ぶりの再開は雨。別れ際、普段は遅れるはずの雨の日のバスがその日だけは時間通りにくる切なさ。。そして雨の日のバスで一生のお別れをし、普段通りの生活に戻る強さ。キスもなにもない。さようならだけ。

一つ一つに彼の品の良さと小市民の美しさがにじみ出るのだが、不器用さん。みんなこうやって日々を重ねていくのかもね。

彼はミゼラブルでも変人でもない。どこにでもいる初老の男だ。

本当に濃い、しかし、しんきくさい。しんきくさいというのは京都弁では褒め言葉ではないですけど、ね。自分の年齢によってなんか見方も変わる、このしんきくさの中にいろんな視線の愛情表現があったりしてよかったです。月も綺麗ですね。

原作はスティーブンスの目で書かれてるのですね。。。

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