オーガニック婚、オーガニック野菜、オーガニックごはん。とオーガニック信者は増加の一途ですが、さて、オーガニックワインの実態は?
といつも疑問に思っておりました。オーガニックと枕詞をおけばとりあえずOKみたいな風潮ありますが一体どういう事なのでしょう?
私がいつも行くスーパーのワインコーナーにはVinBioと誇り高く(埃)掲げられているのですが、Bioの割に作られているのが実はそのスーパーのブランド商品。つまりかなり大量生産でAOC BORDEAUXだのBORGOGNEのおまけつき。ダイエーのセービング印でオーガニックだなんて、夢のような話ではないですか!そんな美味しい話が世の中に存在するのでしょうか?
いやちょっとまて!
実は、私、まがいなりにも通訳という仕事柄、業界はいろんなところへ顔をつっこみます・・・(かなり浅く広くですが)実際BIO野菜を作っている方の学会のお手伝いをしたときに、本気BIOってのは、あんな街で売ってる普通のモロッコやスペインの大量生産野菜の何十倍かの手間がかかっており、一割や二割増しの販売価格でスーパーに卸すなんて無理でしょ?と疑いがあったからでした。中国産野菜と上賀茂ねぎの違いといいましょうか。土地代、人件費からしてすごいんですって。
さてVin Bio。一般的に有機ワインと訳されることが多いのですが、オーガニックワインとも言いますね。しかし実際の定義はと言うと、いきなり。
ビオ・ワインの定義については多くの異なった見解が存在し、詳細は未だ定まっていない。 製造者によって「自然」の程度や意味の捉え方が違うことや、国や地域によって取り巻く環境が大きく異なる為、 様々な解釈に基づいた製品が市場に存在する。(ビオワインwiki)
とのこと。いきなりゆるい。ぬるい。掛かり湯にもならない。オイオイまじですか?あの宗教のごとく、BIOオーガニック商品ばかり買いまくるあの消費行動の人たちにどう説明するのですか?しかし、読んでみると2012年以前は栽培だけがヨーロッパが定める有機栽培条項を満たしてれば良いだけで、醸造法に関してはゆるゆるでした。つまり、現在2013年春時点で流通しているVIN BIOに関してはゆるゆるの法律だと言うことです。では次はフランス語版。
Le vin « biologique » est produit à partir de raisins issus de l’agriculture biologique. Il est certifié par un organisme indépendant. Mais cette certification ne concernait pas la vinification jusqu’en 2012, durant laquelle divers intrants peuvent être utilisés. …… Si dans sa « Charte d’approche d’élaboration des vins « nature » »4, l’Association des vins naturels recommande la certification « bio », elle ne présente qu’une ‘approche’.(Vin bio wiki)
最後の一文が今の実情を表しています。「ビオとはアプローチだけのものである」と。のようなものってか。。それってひどくない?
ただもうちょっと詳細を読み進めてみると・・・いや、そんなまやかしではないです。もちろん!マジです!ライフスタイルですから一生懸命ですよ。だってライフスタイルですもの!宗教ですもの!そして、Bio産業の飯の種ですもの!
では日本で一番良く言われる酸化防止剤。「日本向きのだけ酸化防止剤が入ってるんでしょ」と何回聞かされたことか。。オウムのガス攻撃じゃないんですから、そんな日本だけ攻撃するとかそう言うことを本気で信じている方がいらっしゃると言うことがほぼ苦笑いですが。
もちろん従来のワインと比べ酸化防止剤の規定量は減りましたが決して「無添加ではありません」(ダブル否定つまり、添加です)
Les taux de sulfites seront finalement diminués de 30 à 50 mg/litre par rapport à un vin conventionnel, le seuil étant fixé selon le taux de sucre résiduel :(Viti-net)
亜硫酸塩のレベルが最終的に、従来のワインと比較して30〜50 mg / L低減されただけなのです。(最大許容量は赤<白<ロゼ)なんだって・・・ガチガチかと思ってたら以外と緩い。なんだか狐につままれたような不思議なBIOという定義と言うことがおわかりでしょうか。。
ではだれがあなたはVIN BIOですと認めるのでしょうか?こうやって、信頼の置けるBIO印を認可するのはどのような機関なのでしょうか?元締めは誰なのですか?フランスの場合、農務省とINAOなどが認めた、6つの機関がBIO認定をしてくれます。(ドイツ、オーストリアには存在しますが、日本や英語圏にはまだ存在しません。一番有名なのがECOCERTで仏で70%世界で30%の認証品が出回っています。しかし、このその日本支部であるエコサートジャパンではビオ・ワインを認証対象とはしていない?とも。ほぼ意味が分かりません。かなり混沌としています。
(オーガニック教信者さんのためのイコン安心印)
フランスの場合、生産者の負担はどうでしょうか。実際このように従来の畑&醸造をビオ化するためには20-30%の労働力が加担され、申請から認証をもらうまでは畑の改造なども含め最低3年は必要とします。(きついなー)1980年の運動の始まりから毎年栽培面積は毎年20%の勢いで増えてきており、今や全体の栽培面積の5%。一番多いのはラングドックルーション地方、その次に、アキテーヌ(ボルドー)と続きます。実はフランスの業者にとってBIOマークがおいしいのは国内ではなく、海外市場。世界中に出回っているオーガニックワインの70%はフランス産なのです。(ほとんどフランスの独占舞台ですね)
ちなみにそのエコサートジャパンのホームページを覗くと、エコサート申請に付き5万円+消費税の模様。これ小規模生産者ならちょっとしんどい額だと思います。やっぱりこれは大手相手の認証ビジネスなのでしょうか・・・
ただ、BIOというのはこの緑のマークが欲しくて生き残りをかけ頑張っている生産者もいれば、BIOそのものなのに、「ラベルなんか関係ない」とばかりこういう手法をとらない生産者も多く存在するのは確かです。
伝統的手法でなにもからわずやっているだけで、いわゆるBIO商法に疑問を持ってる方も多いでしょう。例えば、詳しい金額は知りませんが、(調べます)BIOCERTをもらうためにBIOCERT協会へ払わなければならない年会費の負担が多すぎて良心的なワインの作り手は決してBIOマークを貼らないとも言います。それはAOC(改めAOP)でも同じ事が言えるのではないでしょうか。それの発端がスーパーヴァンドペイとかで。。とにかくオーガニック信者さんたちのために頑張ってる方もいらっしゃれば、そうでない方もいらっしゃると言うことで。
とにかくワインは開けないとわからない。それが真実だわね。
かなり良い参考文です
ワインブームとワインの誤解:その12 ~酸化防止剤無添加ワイン①~