パリの映画館のトコジラミが怖いので(今や地下鉄にも映画館にもいるという)自宅で前から見たかったプロミシング・ヤング・ウーマンを鑑賞
これすごくない?
最後の最後の10分までまぁ胸糞悪いんだけど、最後の音楽で救われる不思議な映画・・・ここまで胸糞悪ければ、、(この映画はちょっとでも書いたら全部ネタバレですね)
この映画のすごいところ
キャスティングがすごい
主人公カッサンドラ。
医学生の頃にレイプ被害にあった女友達の自殺を機に今はドロップ・アウトしてコーヒーショップの店員しているけど、その報復のために、夜な夜な主人公が酔ったふりをし声をかけてきた男に復讐しているという設定。。。主人公のキャリーミリガン。寒がってる小動物感がこの映画にリアリティの粉をふりかけるのね。
ボーイフレンドのライアン。
そしてこのような生き方をしているカッサンドラに偶然コーヒーショップで出会った同じクラスだった男性《ライアン》ぱっと見は知的な優等生で、もう世の中の女性がみんな恋しそうな結婚するには完璧みたいなボーバーナムのキャラ。
音楽がいい
ブリトニー・スピアーズのToxicのバイオリンで流れてくるだけでもう毒々しい。
インテリアや服がいい
主人公のありえないほどの女らしいワンピースが多くてびっくりするのよ。普通のアメリカ人女性じゃこんな服着ないでしょ?みたいな女性らしい服を結構着ていてパパにさえ「そのワンピ似合うね」とか言われてしまうあの無表情な演出。最高。お母さんのインテリアの趣味が悪すぎてもうトラウマレベル。夜な夜な復習してる割にこのお姫様ベットでティーンの頃と変わらない子供部屋で生活している主人公の違和感が気持ちいい。
彼女の勤めてるコーヒーショップのポップなところも、しかもコーヒーショップの同僚(オーナー)がオレンジ・イズ・ニュー・ブラックのトランス姉さん(いつもこんな役)がでてきてもう納得のキャスティングと雰囲気
両親の存在がまた深い
両親の存在がまた味わい深い。お父ちゃんとお母ちゃんがやたらデカくて仲がいい。あまり悪いことを信じたくない専業主婦で生きてきた感じのママ。でも顔はすんごいインパクトある怪女女優。
心を開いてボーイフレンドを連れてきた時のテーブルで
「医者の息子がいるだなんて、ご両親もさぞかしご自慢でしょうね」
と言ってみたり
医者の男たち
ノーコメントにしておきたかったが、医者や地位の約束された若い男性にありがちな傲慢さ、社会受けの良さ、(刑事でさえ遠慮する) をうまく描いててびっくりする。国や肌の色は関係なく優秀と育てられた男性たちのあの良いも悪いもあのあのあの感じ。
セリフはミニマム
この映画に共通する直接のセリフではぜったいない。直接の場面もない。すべて行動や状況や描写で描くのね。セリフはミニマムだったと思う。直接セリフはほんの数か所。彼女が大学のDeanと会いに行くところや最後の決闘ぐらいしか本当にいいたかったセリフは言ってない。
えええええのエンディング
最後がえええ!だいたいライアンがレイプ現場にいた(当事者が居合わせてことは不明)でガツーンと観客を陥れてくれるところも最高。あちゃーと、「もう登場人物♂誰も信じられない」と落とさせ、もうダウンさせ、そして最後のスケジュールされたメッセー&音楽で雪崩のエンディング。泣いていいのか、希望のあるのかわからない複雑なエンディング。
テルマ&ルイーズのオマージュ
これは女の友情の物語でもあり、あのテルマ&ルイーズのオマージュじゃありませんか?
特にこことこことか。あたしって今までテルマ&ルイーズがベスト映画だと思ってたけどプロミシング・ヤング・ウーマンもいれるわね。
車で「ねーちゃん」って煽られたら、おっさんの車をバギバキに壊しまくりにいくとこ
薬屋で踊る幸せそうな瞬間とかね。
あと面白かったのは、自分は絶対飲まないようにジンジャエールとシャンパーニュを一緒に頼んで相手にだ飲ませるテクニック、、あれはちょっと使わせてもらおうと思った。;)
ほんとうに、ありがとう。こういう映画がでてきたことを私は嬉しく思う。私達の世代ができなかったことを今の世代の女性がしてくれていることに本当に心強く思うよ。
完璧にこれは『テルマ&ルイーズ』の後継版。たとえ30年後でも世の中は何も変わってないことの女性の嘆き。
そして最後の最後の絵文字のウインク。。キャリーミリガンの笑ったときの目がなくなってしまうあの線にみえる。彼女の優しい目はこの女優のチャームポイント ;)
30年経ってもなにもかわってない世界に正直嫌気さすよね。。絶望さえ感じる。。そんな映画。だから彼女は女性版ジョーカーって言われるのかも。陽キャラのマーゴット・ロビーじゃできなかった。やはりこのキャリーミリガンは最高。女性は全員みてね。いや、男性こそ観てほしい映画かも。