Ken Loach 先生の最新作を鑑賞。Gaument Conventionにて。
邦題は『家族を想うとき』らしいのですが、、なんでこんな邦題なん!?
どういうこと?もちろんこれは家族もあるけど家族だけじゃないし。いやそれでも家族の崩壊も大きなテーマだけどさ。。。
この原題は最後のシーンですごく大事なシーンを果たすのに。。この邦題だけを見ているとなんかファミリードラマみたいですごく嫌です。
Sorry we missed you
残念ですが不在票をおとどけします
あえなくて、寂しかったよ
とともとれます。
これは宅配の人とがよく入れる不在通知書のこと。最後のシーンでやっとこの不在通知書の使われ方が分かるのです。この映画は『万引き家族』『パラサイト』に続く今年の絶対見なきゃいけない格差映画。(勝手に命名)。3つとも違ってて3つともすごい映画だなと想う。私が好きな『パラサイト』は映画的な面白さがあったし、『万引』も子供を拾ってくるという結構想像を絶することをするわりには小市民な捕まり方をしたり叙情的でよかったし、この『We missed you』は誰も状況を説明しなくともすぐはいりこんでいけた。
特筆すべきはお父さんとお母さんの職業なの。お父さんは Amazon を思わせる宅配運転手。ただこの運転手は最初のシーンでトラックを買わされフランチャイズを約束される。とんでもない条件なのにお父さんはついついサインをしてしまう。。。お母さんはこれからも高齢医療制度が破壊するであろうそういう現場の介護ヘルパー。何なんこの夫婦?
もう二人の職業を聞いてるだけで大体想像がつくんです。うわ。しんどそう。。って。
この映画は明日もしかして起こるかもしれないことほガンガン描いててもう正直見てられないのです。毎日あなたの家に来る Amazon の配達の人がこんな生活を送ってるかとおもうとどうします?配達中はトイレにもいけなくってボトルにおしっこしてるとか。。。。ただ、描いてる割には決して、直接的にはAmazon批判をしたりはしません。そこがケン・ローチ的な技というか、けっして下品にセリフに言っったりしない奥ゆかさがこの映画を深いものにしています。一箇所だけ奥さんが旦那の電話をとって旦那のフランチャイズ主に叫ぶシーンがありますが、それもアメリカ映画的にうぉおおと感動的にはならなくてそのまま時がすぎる。。
でももう何もこの歯車を止めることはできない。 11歳の娘さんが必死でお父さんの暴走を止めようとするんだけどお父さんは家族のために働かなきゃいけない。
何が正しくて何が悪いのか。
この夫婦が若かった頃の価値観はもうすでにないいんです。みんなわからないのです。ただこの映画は2019年ですが、後5年後に見たらどうなってるかわかりません。決して良くなってるとは思いません。自営業は潰れ、介護ヘルパーの派遣業ももう医療保険が破綻してるのではないでしょうか。
それでも最後のシーンで家の息子が「お父さん戻って、前みたいに生活したいんだよ」
っていうんですが、もう戻れないことを知っているお父さんは戻りません。傷ついても働きに行きます。子供にそんなことをいわせるなんて、本当に辛い。本当に辛い。Joker, We missed youはほんとうにつらい。
ケン・ローチの「この自由な世界で」もよろしく~・・・くらい。。くらい。くらい。