Netflixのドキュメンタリー映画「監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影」(原題:The Social Dilemma)を見た。。
このドキュメンタリーをつくったNetflixが今ここまで追い詰められたんだなぁと思って見てしまった。(ちなみに私は反ワクチンとか、反マスクとかはちょっと信じられない人です)
世界中の22億人の情報は50人のテック業界の白人男性の意思に操られていると言う事。あの中国は今のところ空白だが、日本語話者+生活フランス語話者として生きてる限りはもう終わってると言っていい。
この告発はすごい。Facebook、Instagram、twitterのシステムを作り上げたテック業界の頭脳たちが告発する。「今のSNSは間違っている。ビジネスとしては大成功だった。広告を売るため。利用者ひとりひとりの情報が商品なのだ。このシステムは人を不幸にするしかない」と。実際私達がもってるスマホひとつはあのアポロを月に飛ばした時のNASAのコンピューターの何倍かも処理能力がすごいというだけで想像もつかない世界に生きている。。2020年にそんなマシンを高校生がポケットに持ってるだなんて1960年代に考えられただろうか。たかが60年で人間は何も変わってないというのに。。。
学者は言う。
「臓器や人身売買は厳しく取り締まるのにSNSの情報については野放しである状態が間違ってる」と
「イイね」を発明した人は言う。
「イイね」でネットをポジティブにしたかった。友達の「イイね」がないことでティーンエイジャーが鬱になったり、自殺するなんて考えられなかった。
ロヒンギャ問題は実はSNSが引き起こしたと言っており寒気がした。そう、あの、フランスで今話題の教師の首切り事件もSNSが分断を引き起こしている。
そして、インタビューを受けているテック業界のシステムを作った張本人が
「今怖いことは?」
「内戦かなぁ。。」
と答えるあたり。トランプの「コロナには漂白剤が効く」を信じて漂白剤を実際に飲んでしまう人、など世の中はいろんな問題で溢れている。BLMだってそうだ。SMSがいい面もあるが分断を引き起こしているのは認めないといけない。フランスの首切り事件の犯人だって、こんな無垢で馬鹿な奴だったに違いない。それがイスラムフォビアを生み出し社会を分断していく。自分の好きなSNSしか見ない人の悲劇。分断が民主主義を壊し内戦に向かっていく。これはずっと思ってたことだからほんとうにびっくりした。SNSでつながり、SNSで分断される。
本当に怖いドキュメンタリー。
食品業界が自分たちの過度に砂糖の入った商品を売り中毒性にさせ、人々の健康を害しながらも自らの利益のためには致し方なく加工食品を売り続けているというのも多くの食品会社の広告で支えられている大手メディアでは流せないからネットで陰謀説のごとく放映されるように、こういう業界批判のドキュメンタリーって予算がかけられないのは素人だってわかる。ただ、このような状況下にネフリのプラットフォームで流れいてること事態がもう「燃えている家」(これはシラク的表現)状態であることの逼迫感は現代を生きてる私達に痛いほど伝わる。
この破滅へ向かう社会を引き止めるために最初にできることは、通知を切ろう、おすすめ動画は自分で探そう。というメッセージでこのドキュメンタリーは締めくくる。
ほんまにそれだけでええんかいな。。もういちど人間であることの倫理や宗教や家族についての学問や議論や実践を実行しなければほんまにあかんのとちゃうかと、、、私でさえ思ったんだけどね。いや、口で言うのは簡単だけど、もうこれからは全員が哲学者にならないと生き残れないんじゃないかなとさえ思えたけどね。
しかしネフリはそんな視聴者には余裕を与えない。
別画面になり現実に戻されおすすめの次の映画というのが出てきてまた戦場に駆り出された気分。
意思を持とうという、それだけで少しは世界は良くなる。希望は自分で作るものだ。救いようのない現実なのだが少し光を与えて終わる終わり方には多少の欺瞞が感じられるか自分たちを否定しない唯一のやり方だったのかもしれない。
大統領選、首切り事件。の今だからこそ見るべきドキュメンタリー。
Wired ドキュメンタリー『監視資本主義』は、ソーシャルメディアの問題をあまりに単純化している:
https://wired.jp/2020/10/17/social-dilemma-netflix-documentary/