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マストロヤンニの晩年作『黒い瞳』やさ男の嘘はそれでも虚しくもあり人生は続く。。

イタリア男はなぜロシア女に惹かれるのか?

男はなぜそこまで嘘をつくのか?
男はなぜそこまで軽いのか?

外国語の使い方、カーテンの使い方、感傷的に迫る音楽。。すべてが印象に残る。耽美主義というか、、美しいものばかりに心を奪われ続けた男の話なのか。。

これだけ麻にこだわった映画もないのではないかしら。
貴族の館の風に揺れるカーテン、ベットセット、子どもたちの白い服。
保養所の真っ白な麻スーツ、麻のワンピースの女性たち。白い日傘。
船上の2人の紳士の麻スーツのシワ具合もすべてが愛おしい。若い頃のイザベラ・ロッセリーニ様も超絶美しい。

今回、マストロヤンニを久しぶりに見たんだけど。(実はこれも公開当時に見てたはず。)。このチャーミングな色気を超える俳優を私は知らない。この人に風に飛んだ帽子を取ってもらったりしたら誰でも恋に落ちてしまう。この人の亡くなる前に撮られた「ひまわり」に次ぐロシアンイタリアな国際的な映画。この映画が公開された頃ってたしか日本でこの人いろんなCMに出てたように思う。

もし今彼が生きていたらイタリアのスターとして英語を喋らされていただろうか。

それでもこの頃は、非英語圏でもみんな英語を話して芝居をするのが流行ってたわよね。。Gドパルデューもハリウッドのおかげで国際スターになったし、ドヌーブさんもこの頃から確か英語映画にちょくちょく出てる。マストロヤンニはこういう時代を知らずに亡くなった最後の国際スターだったのかもね。

とびきりハンサムじゃない。イケメンでもないけど、肌からあふれだすチャーミングさが人の目を離さない。この年になれば、たるんだお腹も、初老の老人特有の脂ぎった感もすべてが観客の目を吸い付ける。この感傷的な設定に誰もがドキドキし、マストロヤンニの魅力とこの映画の義母が大嫌いなコミカルな軽さが悲しい魅力を引き立てる。

お話は、20世紀前半、船旅の船上レストラン。朝食サービスが終わり、昼の営業時間まであと少し時間がある。。あと40分待てと言われながらも喉が渇き入り込んでしまった初老のロシア人ビジネスマンに、そこでひとりお茶を飲んでいたロマノ(マストロヤンニ)が、「端っこで御茶を飲みませんか?」とテーブルに誘いお互いの話をする形で物語が進んでいく。話を聞くとこのビジネスマンは年の離れた妻を最近もらったらしい。

ロマノは裕福な妻をもつ婿養子。普段から夫婦げんかの耐えなかった妻に逃げるようにして来た温泉保養地。そこで知り合った不幸な結婚をしたロシアの貴族の女性と燃えるような恋を終え、屋敷に帰れば裕福なはずだった家が破産・・・

ロマノの人生はなんだったんだろう?
ロマノの人生はすべてが下書き?何をしたのだろう?家も家族もすべて失った今、彼に残ったものそれはあの宝石のような恋?

初めて会った男性に自分の人生を語りながら自分の愚かさに気づいた途端、ロマノが実はもう貴族の婿養子ではなく、この船のレストランでで雇われている老給仕だということが明かされるこの展開。

そして、食事の時間になり、このビジネスマンが妻を呼んでくる。この連れてきた女性こそ。。

私はずっと彼は自分を騙して生きていくだろうと思う。彼にとってこの世は色即是空。どこか「無」の心を通じる何かを感じたわ。

初老のちゃらんぽらん男がいかに自分が虚構に生きていたかを語り涙する。童話ならアリとキリギリスなのだろう。道徳的教訓は要らない。妻を裏切り、仕事も真面目にせず、破産した男、それでも、無のなかも自分の生きてる意味を見つけ出そうとする。この一瞬の魅力は積み重ねた過去がないと醸し出せない。切ないわ。




なぜフランスのコニャックなのかがわからないけど当時のCMですね!

奥様役の女優さんがなんか田中真紀子さんににてるのよね。それもツボね。。


カンヌ受賞作だったとは

結構かわいい