外食デリバリー産業実情レポの2稿めです。外食デリバリー業界欧州事情①もあわせてお読みください。
投資家大好物の外食デリバリー
前回は外食デリバリーで何が売れてるか?どういうアクターがヨーロッパにいるか?などを書きましたが、
こちらが欧州のメイン外食デリバリー産業の巨人たち。
言わずとしれたUberEats ,ロンドンベースの6年目のDeliveroo、バルセロナ生まれの4年目のGlovo、彼らの目標はヨーロッパ人の胃袋と財布を掴むことと公言しています。
予想ではまだまだ成長の余地があり、2023年までには収益が250億ドルになる可能性を秘めています。コンサル会社デロイトの調査では、ベンチャーキャピタルはこのセクターに対して、2019年16億ユーロ(2000億円)の投資をしました。しかし、現実としてこのバトルにもうすでに2018年にFoodraはフランスから撤退してたり、食うか食われるかのバトルロワイヤルはつづくようです。
Uber Eats ユーバーイーツ | Deliveroo デリベロ | Keartz カーツ |
2016 年からヨーロッパ開始 | 2013年ロンドン | 2015年アムス・マドリッド |
500都市以(欧250都市) | 7カ国(欧) | スペイン・ポルトガル、オランダUK |
外食デリバリーと配車業、業界トップ | 外食デリバリー/Amazonが投資/創始者は台湾系米国人 | ダークキッチン(ゴーストレストラン) |
デリバリーだけではない
成長しているのは外食デリバリーだけではありません。ダークキッチン、もしくはゴーストレストランと呼ばれる業種もあります。(実店舗を持たないデリバリー特化業態)
この業態もいまや3つのタイプに分類され、
①実店舗を持たない、配達のみ営業のフードブランド
②デリバリー+ダークキッチン業務をかねた業態
③キッチンスペースのレンタル
にわかれます。
ダークキッチンも③とかになると貸店舗業及びイベント、コミュニティづくりがメインで、新しくレストランを開業する人やトライアルの利用を促しています。つまり運転手さんがUberで働くために車をレンタルしているような会社です。
先日、13区あたりを歩いてたら、いわゆるダークキッチンがあったのでへーと思って覗いてみたら、、案の定、調理師のプロじゃない人の厨房作業がわかる状態で、衛生面でちょっとだいじょうぶかな?と思いました。
営業権も不要で、参入は簡単でしょうが、ダークキッチンってのは私はちょっと。でもダークキッチンとはわからずに注文してしまいそう。。ただ名前の怪しさとは裏腹にすごく伸びてるらしくまたまた私の考えを改めなければいけないのかもしれません。
彼らが狙う次の業界は
そんな彼らが次に狙うターゲットは食料品店!食材配達です。着々とこのようなスタータップなサイトが欧州各都市にやってきました。
毎日料理する身からしては、スーパーで買ったほうが品揃えもいいし安いじゃん!と思うのですが都市部の若者はそう思わないそうです。もうすでに外食デリバリーと同時に食材配達もしているGlovoの消費者や流通パートナーの調査によると、彼らの強みは
小売店を通さなくていい
スーパーマーケットの在庫の苦痛がない。流通業の辛さ、、わかるがちょっと待て。誰かが負担しなければならないんだけど。
仕入れ業者や物件を見つける手間が省ける
ダークキッチンを運営するにあたって、場所や仕入先の安定確保はかなり大変な仕事でスピード感をおとすおそれも。
時間帯により価格が変動するオプションも有り
Airbnbみたいですね。
スピードが鍵
とりあえず早く届けることが成功の鍵。一日何回でも少量でも配達します。これはお年寄りや子供のいる家庭では嬉しい。
種類の豊富さよりも選びやすさ
何でも選べる環境よりも、自分好みの品揃えが好き。大型スーパーのサイトは選びにくいものですね。。
ブランドを身近に感じること
食品流通がこんなことになってたとは!なにがなんだかわからない展開になっていますが大型のCarrefourDriveなどの郊外のファミリーの食材通販に対してのカウンターパートなのかもしれません。また彼らはAIでどんどん私好みの食品や映画も見つけてくれるでしょう。
今のところは都市部だけ
今回2回に渡り、UberEatsヨーロッパレポートをかいつまんでご紹介しましたが、この欧州や米国発の食品デリバリーに日本はあまりまきこまれてなくて少しホッとしました。(え?まきこまれてる?)
個人的に気になることは食の倫理、つまり生産者やそれを育む事となる大地、そして口へ運ぶ感謝というか、毎回の食事前の祈り的なありがたさがスコーンと抜けてる気もしないでもありません。シャリングエコノミーでも車や自転車はまだいいんです。ただ食となると少し抵抗があります。粗末に扱うのが憚れる世代ですので。。私みたいな古いことを言ってるとだめなのでしょうが、、中抜中抜で、腕のある料理人、街のコミュニティの場である実店舗もCovidでかなり痛手を受けています。
もしかしたらダークやゴーストという言葉から連想されるものにただ単に本能的に反応しているだけかもしれません。個人的には新ビジネスの誕生や、食品ロスを利用するビジネスチャンスおもしろさはよーくわかる。とはいえ、配達人たちの労働条件、レストランとの関係などもふまえFoodTechの新しい動きを今後も見守っていきたいと思います。まだまだ生まれたてなので厳格な法律もない雰囲気でそこが良いのかもしれませんが、まだまだ未知数ですね。
Covid前ですがDarkKitchen (ダークキッチン)のレポート
参考資料URL:
https://www.flipdish.com/blog/dark-kitchens-and-virtual-restaurants-the-future-of-the-food-industry/
https://sifted.eu/articles/on-demand-food-delivery/
https://malou.io/impact-covid-19-restauration-consequences-repercussions/
https://pos-cube.com/inshoku-keiei/trend/dark-kitchen/
https://jp.techcrunch.com/2019/07/03/2019-06-28-a-rare-glimpse-into-the-sweeping-and-potentially-troubling-cloud-kitchens-trend/
https://www.lesechos.fr/industrie-services/conso-distribution/taster-la-start-up-qui-developpe-des-restaurants-virtuels-en-france-1146587
https://www.ktchnrebel.com/dark-ghost-kitchen/